UXO Lao関連

背景

ラオスベトナム戦争中(1964-1973)に約2-300万トンの爆弾・砲弾が使用され、爆発しなかったものが未だに不発弾として残っている「世界最大の不発弾汚染国」です。これまでの不発弾の被害者数は、累計で2万人以上に達し、現在でも年間約50人(一般市民を含む)が被害にあっています。不発弾は、人命、健康を奪う以外にも開発の足かせにもなっています。建物を建てたり、開墾したりするために土地を利用する際には、事前に不発弾がないことを確認する必要があり、不発弾が見つかった場合には処理作業が必要になります。
ラオス政府は、不発弾問題に積極的に取り組んできていて、国の開発計画やMDGsSDGsへの取組みの中に不発弾問題を位置付け(注)、被害者の削減と土地利用の拡大による貧困の削減と開発の促進を目指してきました。1996年には国の機関として不発弾を除去するLao National Unexploded Ordnance Programme(UXO Lao)を設立して、国連開発計画(UNDP)をはじめとする各国支援の下、全9県に事務所を設置して約1,300人のスタッフが不発弾の除去に取組んでいます。また、複数の国際NGOも不発弾の調査や処理に取組んでいます。
(注)ラオス政府はSDGsの独自の目標として「ゴール18:Lives safe from UXO」を設定。

近年の取り組み

なお、現在ラオスの不発弾関連部門では、全国レベルで不発弾の残る場所を詳細に特定する調査が進められています。これまでラオスでは、全国の不発弾の被害地を特定する作業は行われたことがなく、不発弾がどこにどれだけ残っているのかという全体像を把握することができていませんでした。現在進められている調査が完了すると、被害地の全容が明らかになり、今後の除去に必要な時間と資金をより詳細に計画することが可能となります。


JICAの技術協力

JICAは2015年から2018年までラオスの不発弾除去組織であるUXO Laoとともに技術協力プロジェクトを進めてきました。トライアルで一部の県に、貧困削減や除去後の土地利用等を考慮した、透明性の高い不発弾除去地選定を実施してきました。また、外国からの支援がどのように使われているか分かりやすくするため、物品や人件費を管理する情報システムの構築を行いました。また、ラオスと同様に不発弾および地雷の被害を受けているカンボジアとの技術交流を行い、知識・経験の交換するプログラムを実施してきました。

 

補足

不発弾除去の大まかな流れ

不発弾除去は現在、以下の流れで行われます。
聞き取り調査→技術調査→優先順位付け→不発弾除去→除去後評価
聞き取り調査:村人からの情報提供を受けて不発弾がないかなどを聞き取り調査する
技術調査:探知機を使うなどして、その周辺にどれだけ不発弾があるか調査する
優先順位付け:複数の不発弾除去対象地のうち、ラオスの発展にとって重要な順番で除去を行えるよう計画を立てる
不発弾除去:不発弾の探索、爆破処理を行う
除去後評価:不発弾の除去についてルールに従って行われたか、住民が理解しているかなどを確認する

UXO Laoとは

Lao National Unexploded Ordnance Programmeの略。1996年に設立された国に所属する不発弾に関連する活動を行う組織で、労働社会福祉省に所属している。主な業務は、不発弾汚染地域を特定する調査、不発弾の除去、公的機関による不発弾発見への対応、不発弾のリスクについての啓もう活動。本部が首都ビエンチャンにあり、ラオス全土の17県のうち影響の大きい9県に支部を設置している。

クラスター爆弾とは

数ある不発弾の中でも、特に「クラスター爆弾」はショックに敏感に反応するため被害が大きい。ラオスには8,000万個と推計されるクラスター爆弾の不発弾が残っているが、これまで処理された不発弾の数は200万個に満たない。不発弾の除去のスピードを上げるためには、不発弾除去に取り組む組織の能力強化が求められている。

参考URL

プロジェクト概要 | 不発弾除去組織における管理能力強化プロジェクト | 技術協力プロジェクト | 事業・プロジェクト - JICA

Moving Towards Achieving SDG 18: Removing the UXO Obstacle to Development in Lao PDR | UNDP in Lao PDR

www.jica.go.jp